祖父が亡くなって、約1年が経とうとしていた。
父母や、叔母や叔父が、いたので、納骨も行ってなかったし、
お盆や、お彼岸にも墓参りに行ってなかった。
そろそろ春のお彼岸という時期だった。
夢で、場面は東京郊外のH市の橋の上で、なぜが、祖父が一人で歩いてた。
自分は車に乗っていて、
「おじいちゃん、どこ行くの?」
「湯治に行こうと思って」
そこで、仲が良かったおばあちゃんが一緒にいないのが不思議だった。
「一人で行くの?」
「ああ」
「車に乗りなよ。送って行ってあげるよ」
「悪いなぁ」
「いいよいいよ」
祖父は、後部座席に座った。
そしてどこをどう走ったかよく覚えていないのだが、
そこは、K県Y市。
「そこ、左に曲がってくれ」と言われ、
細い道に入った。
まるで山道だった。
どんどん奥に進んで行くと、行き止まりで、それ以上車では進めなかった。
「ここで、いい。ありがとよ。」
と言って、祖父が降りた。
ここから、どうやって「湯治」に行くのか?
「おじいちゃん、そこの場所はどこ?」
「ほら、あそこだよ」
眼下に綺麗な川が流れていて、そこの崖を下ると、橋が掛っていて、
その向こうに旅館の様な建物が1軒ポツンと立っていた。
いくらなんでも、この足場の悪い、崖を老人一人で、行かせるのは危ない。
「おじいちゃん、あそこまで連れて行ってあげるよ」と言ったら、
今まで聞いたことのない、優しい祖父が、
「来るな!!ここでいい!」と凄い剣幕で怒鳴った。
それにビックリして、それ以上、言えないと思い、
「本当に大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。ありがとよ。」
と言って、振りかえず去って行った。
Y市にこんな綺麗な場所があったんだな~と思った。
そして、そのあと、すぐ目が覚めた。
夢だったのか・・・・
あれ?おじいちゃんもう死んでるのに・・・・
そして、この話を、両親や親せきに話した。
そこは、墓地の場所に似ているということだった。
「来るな!」と言ったのは、あの川は三途の川だったのだろう。
「墓参りに来い」というメッセージだったのだろう。
そして、その後初めて、墓地に行った。
鳥肌が立った。
墓のある場所が、あの「湯治の旅館」で、
墓から、先が尖っている崖があり、自分はそこから、見たのだと確信した。
祖母がいないのも当たり前だ。
まだ生きていたのだから。

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